【 船乗り嫁日記 】笹舟のように流される、二拠点生活

最近はほとんど毎週、奈良に帰っている。ていうか仕事も奈良でしてるし。二拠点生活です。明石に住んでいるけど神戸のシェアオフィスにも通っているので、実質3拠点ともいえるのか(やっぱり街の感じはちょっと違うし。)

ありがたいことに親も元気なので、毎週実家に帰っている。二十代の頃は正月ですら帰っていなかったくせに…人は変わるもんだ。親も変わってくるし。

いやもう、そろそろ奈良に引っ越してもいいんじゃないかレベルである。でもまた夫の都合で神戸にすぐ戻るであろう。もう引っ越しにはうんざりしている上、こっちの暮らしもわりといい感じになってきたので現状を維持している。

でも老後は奈良に住みたい。ていうか住む。両方の両親の家にも奈良の方が近いし。

鹿せんべいの値段も変わる

地元が手放しでワンダフルなわけではない。深い歴史は恨み妬み嫉みやっかみも根深いし…。

電車もバスも時刻表見とかないと30分待ちはザラだし、道路はなぜかよく陥没している。

奈良は素敵なとこもたくさんあるけど、シャッター街どころか、町自体が廃墟感半端ないとこもまぁまぁあり、遊園地のお化け屋敷の方がよっぽど明るい。冗談ぬきにネズミの国のホーンテッドマンションの方がずっと活気がある。

地元クソやな、と思う時もたびたびある。でも愛してる奈良。家族みたいなもんか。

地元を離れるのは寂しいけど、新しい土地に行くたびに面白い人や仕事に出会う。東京や神戸(&明石)とかに出てきて、面白い人にいろいろ出会えた。都会はその点、良い。

引越しは辛いけど人生のコマを必ず進めてくれて、新しい扉を開いてくれる。そこは頑張ってきてよかった、っていつも思う。

でも、それでも。やっぱり私はなぜか奈良が好きなのだ。たまに帰らないと山を求めるハイジになるのだ。

山が呼んでいるわ!

奈良の魅力って…若草山の青々しさとか、生駒山に落ちる夕日とか、古墳の吸い込まれそうな深い森とか。

大地の力が半端ない。とにかく空が広い。お寺がもう、ジブリの世界そのまま。荘厳とはこのことか、何百年の歴史を経た建物や仏像の気高さよ、神々しさよ。人は大いなる自然の片隅に住んでいる生き物でしかないと思わされるところとか。

本当に、人間は大地の一部で、大きな歴史の一部のかけらでしかない感をものすごく感じて、それがすっごく気持ちを楽にしてくれる。

締め切りなんてまあいいや、新企画?また今度でいいか~。そんな感じ。なんか体感がおおらかなのだ。

鹿がのうのうと街で暮らせる、あの絶妙なゆるさ、あれを許せる奈良のゆるさが良い。猫の額サイズの土地でも、速攻でコインパーキングになる都会とは正反対のものが流れている。

なんでこんなに地元にこだわるのか。もう一つの理由に、小さい頃から今まで、転々としてきた経験も大きいと思う。(同じきょうだいでも妹は生まれた時からずっと奈良にいるのだけど…不思議)

生まれたのは大阪の端っこ、神奈川・川崎で7歳まで過ごし、突然フィリピン1年、大学生まで奈良、そこから京都4年、東京2年半、奈良3年、明石(神戸)今4年目、とず〜っと転々としている。これからも未知。ずっと笹舟のように流されている。

しかも奈良に親戚はおらず、何なら叔母は全員国際結婚している。本当に、根っこからして浮草。

生まれてから85年、ずっと地元の町で暮らす大阪の祖母とは正反対だ…

あかるい明石海峡

変わることは嫌いじゃないし、退屈の方が苦手。それでも、自分の意思とは関係ない引越しが続くのはなかなか辛いものであるよ。食べたくないタイミングでとらされる食事のようなものだよ。

よその土地に行くと、地元っ子がその土地の面白いことや街の遊び方とかを、やっぱり知っている。かっこいい。

小さい頃から浮き草のような感じだったので、「地元の子」がずっとうらやましかった。奈良の人って言える/言われるようになって、すごく嬉しかった。

ちょっとくさい話やけど、ルーツって大事やねん。アイデンティティって大事やねん。カッコよくいうと魂の拠り所、ではないだろうか。

ダサく言うと、寝るときの枕くらい大事なやつ。シャケ弁におけるシャケくらい大事。

やっと、地元と言えるくらい愛着と根っこができた場所を、私は大事にしたいのだ。つながりを作るのは数年単位の時間が必要だけど、縁はちびちびメンテナンスしないと、切れる。切れない縁もあるけど、人間関係も生モノだ。だって人間が生モノだし。

変化が大きすぎる生活のせいかもしれないけど、今会える人には、なるべく会って、なるべく大切にしたいと思っている。親も夫も含めて。

タイミングが少しずれただけで、本当に会えないことが多いと感じている(船乗りとかタイミング逃すと半年〜一年会えないとかザラ)。コロナ自粛もしかり!

笹舟のように、頼りなくぷかぷかフラフラした今の生活。これも悪くはない。笹舟に乗って、身軽にいろんな人に会いに行くのだ。

と言うわけで、来週もまた奈良に帰ります。貨物船乗りのゲンさんはまだまだ帰ってきませんよ(あと4カ月くらいか)。

えらい暑苦しい文章なったけど。

おしまい。